メンタルヘルス問題の背景(2)

今回も前回に引き続きメンタル問題の背景についてお話していきます。
企業にとってメンタル問題は、もはや避けては通れない大きな労務問題ですが、その中で私が特に注目するのは、「一般的な社員がウツ病などに陥る」現象があまりに多いこととその原因です。

私がイメージする「一般的な社員」像を以下に記します。

・真面目で責任感があり、指示されたことは自分の責任において完遂しようとする。
・基本的には変化を好まず、新しい仕事や環境にあたると不安と葛藤が生じる。
・所謂モチベーションは環境(上司)依存型である。
・向上心という自発性より周りからの評価で成長をする。
・経験を積むことで給与水準は必ず上がるものだと思い込んでいる。

日本企業では、凡そ社員の80%以上がこのタイプだと思われます。もしそうであれば、彼らは「一定の安定した環境の下で」組織に貢献するタイプの人たちです。ですから、現代のように本当に急激な変化の中で「自ら考え、動く」ことが要求されるようになると、途端にパフォーマンスが落ちる可能性があります。

ましてや景況感は悪化が「根付いた」感があり、営業も開発も管理部門も大変プレッシャーとストレスのかかる時代になりました。つまり、毎日の職場環境そのものが非常に居心地の悪いものになっているのです。こうした時代を健康的に生きていくためには、「変化を楽しむ」というとキレイですが、「やるしかないでしょう」と開き直れ、第一歩をすばやく踏み出せる行動が何より大事です。
それはつまり、変化を怖がらずに冷静に受け止め、自らをそれに合わせていく「柔らかさ」ではないでしょうか。

こうした環境の激変が大きなストレスとなり、結果職場に心の病を多発しているのが現在の状況といえるでしょう。今のメンタルソリューションは外部機関の相談窓口であったり、マネージャーへの知識・ノウハウ研修のような対処療法が多いようですが、このような根本原因をまとめ、マネジメントチーム全体で理解、対処していかないと、簡単に解決する問題ではないと思います。

また、まだデータが揃っていないのですが、どうやら男性社員の罹患率がかなり高いようです。同じ職場に働く男女の違いに何があるのかも現在調査中ですが、現時点では以下のような仮説をたてています。

・男性は仕事以外の肩書きや将来性など関心が多様である。
・男性はプライド(沽券)が高く、過去の成功事例から離れられない人が多い。
・男性は不安を口(や表情)に出せないので、ストレスを溜めやすい。

昨今、採用選考におけるメンタルタフネスのチェックが流行っていますが、恐らく効果はあまり期待できないでしょう。適性試験などで、この因子の極端に弱い人はわかるでしょうが、相対的なデータとしての信頼性はそこまで高まっていないと思います。面接の見抜きはもっと心もとない状態です。前回も申し上げましたように、この問題は大きな社会と経済の変化による現象ですから、論理的な分析やデータの集積もこれからでしょう。私たちもメンタル問題を今後の大きな研究テーマにしていきたいと思います。

樋口弘和