メンタルヘルス問題の背景(1)

職場における鬱病などの潜在発生率は4%強と言われていますが、10%近くに迫っているのではないかというのが私たちの実感です。今日は、このテーマについてお話をさせていただきます。

職場でメンタル関係の問題がこれだけ起こる背景には、次の2つの問題があると思います。

1.仕事の負荷 
2.本人のメンタルタフネス

まずは、仕事の負荷からお話します。私が社会に出た30年前には、コンピューターはまだ一般的でなく、HPですらキーボードは英語のみ、今思えば簡単な仕事も多く、随分とのんびりしたものでした。(もちろん配属によっては、終電での帰宅もままならない同期もいましたが)

日本全体で考えれば、ホワイトカラーの業務負荷(業務量と品質とスピード)は比較できないほど高くなりました。私の勝手な直感でお話すれば、25歳の若手で2倍以上、管理職で3倍以上の開きがあるように感じます。以前であれば、物事を覚える時間の余裕があり、高度な判断業務を任されるまでに成長を急かされることもありませんでした。
このことだけを見ても、現在のビジネスマンの平均的な負荷が如何に大きいかがわかると思います。

さらに大変なのが管理職です。
円高で高コスト体質となったマネージャーは、バブル崩壊以降、人件費削減の最たるターゲットとなり、その数は減らされ、残った多くの管理職がプレイングマネージャーとなるなど、以前とは比べられないほど多忙となりました。以後現在に至るまで、担当業務の成果を出すために奔走し、部下管理で疲弊していくということがそう珍しくない時代が続いています。

さて、次に本人のメンタルタフネスの問題です。
私は20歳代の若手の精神的な弱さは、その育てられ方に大きな影響を受けているなと感じています。
彼らの両親は「社会や両親の価値観を押し付けられて」高度成長期の受験戦争を戦い、社会や企業で悪戦苦闘している方々が多く、自身の人生観から「子供には、自分のやりたいことをやらせたい」という志向の方が多いように感じられます。私も同感です。
ところが一方で「やりたいことをやらせる」教育は、企業に一歩入っておこなわれる「理不尽な業務命令」には極めて弱いという一面を浮き彫りにします。

これは極端な表現かもしれません。
しかし、企業は今後益々「やるべき仕事」を求め、「本人の納得感」を確認していくことを怠りがちになるでしょう。ここに今日のメンタル問題の原因のひとつがあるように思います。
当然、「やりたいことをやる」ことと「理不尽なことをやる」ことはバランスの問題であり、どちらかだけが正解ということではありません。でも間違いなく、前者の経験が多く、後者が少ない若者が心に傷を
負いやすく、メンタル問題を起こしているのは間違いのない事実のようです。今後もこのテーマに関して検証を重ねていこうと思います。

樋口弘和