家族手当について

厚生労働省の平成27年就労条件総合調査によると、「家族手当、扶養手当、育児支援手当」等家族を起因にして
支払われる手当は調査対企業(6,302)のうち66.9%となっています。通勤手当の91.7%、役付手当の87.7%につぎ
3番目に採用数の多い手当となっており、一般的な手当であることが分かりますが、給与計算の実務担当者から
すると、処理がなかなか手ごわい手当です。

もちろん会社により支給基準、処理内容は異なりますが、以下のような事象に覚えがある方もいらっしゃるのでは
ないでしょうか?
 
 ●結婚や出生の届出が遅れた場合
  ・手当の遡及支給をおこなう。2ヶ月分まとめて支給したが
   翌月にシステムのマスタを1ヶ月分に戻すのを忘れ、過支給となってしまった。

 ●税扶養範囲内であることが支給要件である場合
  ・年初は扶養範囲内でパートする予定であった対象者が、年末で収入が増え扶養範囲外となった。
   年末調整処理の繁忙期に家族手当の調整をおこなわなければいけない。
  ・年末調整時点でも扶養者として申告した配偶者が翌年度の住民税扶養対象から外れていた。
   実は確定申告で扶養対象外であることが確定しており、遡及回収をおこなうことになった。

 ●夫婦での重複支給防止について
  ・(夫婦が別の会社に勤務)配偶者が勤務先で家族手当の支給をうけないという証明をもらわなければいけない。
   公的な証明書でなく従業員から提出してもらうための説明に時間をとられる。
  ・(夫婦で同じ会社に勤務)夫婦から別々に申請がきたが、時期がズレていたためチェックがされず
   本来どちらか一方に支払うべき家族手当を2名に支払ってしまった。

 ●健康保険上の扶養であることが支給要件である場合
  ・扶養認定に時間がかかったため、遡及支給をすることになった。 
  ・扶養調査により扶養認定をはずれたため、遡及回収することになった。

恥ずかしながら私も前職(自社従業員給与担当)でマスタ変更漏れによる過支給をしてしまい、
数か月にわたり遡及調整したことがあります。
ご本人への申し訳なさと、数か月の管理の煩雑さを思い出すと今でもぞっとします。
上記のようなミスをしないためには、翌月以降に引き続き処理をしなければいけない事項についてリストにまとめ
管理をおこなうことが重要であり、さらに調整処理が終わった月までではなく、その次の月に”もとに戻っている”ことまで
確認するようにするよう記載しておくことがポイントです。

ちなみに、家族手当の支給要件では「扶養の範囲内」としている企業が大半ですが、「税扶養」としているか
「健康保険上の扶養」としているかは企業によってさまざまです。国家公務員の規程では「扶養手当」の支給基準は
年間の総収入金額を130万円未満としており、健康保険上の扶養基準に準じているようです。
また、成果主義の広がりにより、家族手当は廃止、縮小の方向に動きつつありますが、一方で採用難が顕著な昨今の市場では、
定着施策のひとつとして存続させる企業もあります。

いずれにしても給与処理者としては、ミスの発生しやすい手当ですので、どうぞお気を付けください。